始めに
現在のテレクラツーショットダイヤルは、スマートフォンに無料の通話アプリをインストールして利用するスタイルが主流です。しかし、元々はテレフォンクラブ、略してテレクラ店舗へ行って利用するものでした。
無料の通話アプリをスマートフォンにインストールして利用するのが現在の標準です。下記のボイスチャット「Voifull(ボイフル)」では、音声通話もライブチャットも専用アプリを通してスマートフォン一つで楽しめます。
1980年代後半から徐々にその店舗数を伸ばしていったテレクラですが、大手グループのチェーン店舗も個人営業的な店舗もおおよその設備はほぼ一緒だったと思います。
薄い壁でパーテーションされた個室には、電話機とビデオデッキが接続されたテレビが設置されていました。フリーダイヤルでかけてきた女性とお話をしながらエロビデオを鑑賞するスタイルが多かったと思います。
多くの男性に共通したテレクラの遊び方は、女性とテレフォンセックスを楽しんだり、女性と実際に会う約束、デートの約束をとるのが基本でした。
余談ですが、そのパーテーションで仕切られたドアのある個室という店舗スタイルですが、現在数多くのチェーン展開をしている個室ビデオ鑑賞やマンガ喫茶、インターネットカフェの原型になっていると言われます。

早取り制のテレクラ

当時行きつけのテレクラリンリンハウスは新宿歌舞伎町のマハラジャ店で、JR新宿駅を背に靖国通りからセントラルロードに入り直ぐの左手側、吉野家の脇の階段を地下に降りた店舗でした。女性からのコール数が多いことで有名なお店でしたので、テレクラファンならば利用された記憶がある方も多いと思います。部屋数は20位だったかな?
私が通い始めた当時は、いわゆる「早取り制」で、女性コールが各部屋の電話を一斉に鳴らすので、いち早く受話器を上げて女性コールを取らない事には何も始まりません。多少慣れた客ならば、コール音を聞いて受話器を上げるなんてタルい事はしません。
予め受話器を外しておきフックに指をのせて一定リズムで上下させて待機します。フックが上がる瞬間と女性コールが飛び込む瞬間が合えばジャストタイミングで一番に女性コールをゲットです。でもまあ危険も伴う方法で、タイミングが悪ければ女性コールをガチャ切りしてしまう事もあるので慣れと集中力が必要でした。
そのほか、複数ある電話機のフック操作を片手で同時に対応するため電話機を卍型に並べ直したり、コール音よりもコンマ何秒か早く光る着信ランプに集中したり、同じくコール音よりも若干早く入るスピーカーのノイズ音に集中したり、他の客(ライバル)に如何に先んずるか必死でしたね。
ある程度いいテレクラとは、女性コールが集中する時間帯以外もさほど途切れることがなく、24時間まんべんなく女性コールが期待できるものです。そのため夕方から深夜にかけては店内が女性からのコール音でにぎやか(うるさい)です。
ですが行きつけのマハラジャの場合、常連客も多く客層全体のテレクラスキルが異常に高いので、音など一切鳴らさずに次々と女性コールを取っていき、逆に店内が静かになるという妙な感じになりました。
初見の客ならば「全然鳴らねー(女性コールが無い)暇なテレクラだなー」と勘違いする程でした。店内に響くのはゲットしたコールの女性とひたすら話し込む男性客達の微かな話声のみ。懐かしい記憶であるテレフォンクラブ全盛期の光景です。

取り継ぎ制のテレクラ
女性コールを早取りするテレクラのシステムはやがて「取り継ぎ制」へと移行していきました。フックを連打する早取りはどうしても女性コールを潰してしまう可能性があるので、お店側も推奨するものでは無かったと思います。
結果として、一旦お店のフロントで女性コールを受けて、その後フロントから各部屋へと取り継ぐ方式が一般的になりました。フロントを中継することで、お話などが合わない場合はその電話を一旦保留にしてフロント側に返すことで、再度フロントから他の部屋の男性へ取り継ぎ直せました。
テレクラ側は客室内に案内のPOPを貼って、このコールバックシステムを分かり易く説明推奨していたと思います。「早取り制」から「取り継ぎ制」へと移行する背景として、後々訪れる女性コール数の減少問題も大きな要因だったと思います。最盛期には掃いて捨てるほどあった女性コールですが、インターネットに接続できる携帯電話が広く普及し始めた頃に合わせて明らかに減少方向に転じました。
要因として、時代的に特に女性側のテレクラ熱が冷めてきた、メール機能を主とした出会い系サイトの台頭、携帯電話の普及により店舗に行かなくてもテレクラツーショットダイヤルが楽しめる環境ができた、無店舗型のテレクラツーショットダイヤルの番組の充実が進んだ、などが考えられます。
又、早取り時代には女性コールをめぐってライバル関係にあった男性ユーザー同士ですが、取り継ぎ時代になると女性コールを大切に共有するという観点で、ある種の連帯感や実際にアポ取りした女性に関する情報の共有など、テレフォンクラブ内限定の友人関係、同好の士のような光景が見られました。


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